2012年4月21日土曜日

医者の放射能知識を疑え

IWJで全国をかけまわっているジャーナリストの岩上安身さん、ここのところ我々サポーターが心配していた体調について、メールで詳述して下さいました。メンバーは同じものを受け取ったことと思います。

以前にも岩上さんのツイートを見て、なぜこの主治医を逆に説得するか、それとも来院先を変えないのか、と思いました。正しい診断ができる人でないと岩上さんが壊れてしまう。

医師として、この方、決定的な勘違いをしています。単に放射能の知識が浅いだけではない。まぁそれなりの立派な設備はあるのでしょうが。

メール画面の部分コピーをとって、勝手にマーキングしましたが、オレンジの枠で囲ったこの、「①放射線の影響はあなたの体調不良とは一切関係ない。②被曝によって影響が出るのは甲状腺だけ。③これは医学的に証明済み」という発言、もしこれが事実であれば、この医者は、30億円の予算を預かって先端医療の研究に当たられる東大の児玉龍彦教授より偉い人ということになってしまいます。



①「放射線の影響はあなたの体調不良とは一切関係ない」←まず、放射線の影響は、長年かかって多くの患者から統計的データをとるか、判明したメカニズムに関しては、ゲノム医学が解っていなければ、因果関係をの有無を断定することができないとわかっています。また、核種によって体内での挙動もバラバラなのに、東日本も駆け回り、何を吸収したかもわからない岩上さんに「あなたの体調不良とは一切関係ない」って言い切れる医師はいないはず。

②「被曝によって影響が出るのは甲状腺だけ」←こんな出鱈目、ICRPの連中でさえ言ってないでしょう。セシウムは上皮に蓄積しやすく、心筋の病を引き起こしやすいだけでなく、肝臓や膀胱の症例もわかってきています。何より、放射線は体中の細胞を攻撃するので、肥田先生が長年診てこられたように、被曝者それぞれ異なる症状が出ます。脳がやられると、知的・精神的障害となります。

③「これは医学的に証明済み」←信じられません。アホですか、この人。科学者ですらない。エビデンスが無い=否定された、と勘違いする類。児玉教授が、恩師の長瀧重信教授(←我々は御用と呼んでいますが)の貴重な発言を著書の「内部被曝の真実」で次のように引用されています。

(チェルノブイリ事故)被害者の健康被害研究に携わってきた長瀧医師は、
「”国際機関で因果関係があると結論するにはデータが不十分であるという表現は、科学的には放射線に起因するとは認められないということである。ただし、科学的に認められないということは、あくまで認められないということで、起因しないと結論しているわけではない」と指摘する。(後略)

岩上さんが主治医をよい方と書かれるのは、お人柄など色々あるのでしょうが、日本人はよほどでない限り、誰かを批判するときに「いい人」と付けたす癖があります。私は項目(12)で書かれていること↓↓↓には何重もの意味で正直呆れます。平均的お医者さんなんでしょうが。これが一般的医師の群像として書かせて頂きます。

”(略)親切だし、説明も明晰である。放射線被曝の影響を小さく見積もるのも、それが現代医学の体系を学んだ成果であって、個人的な偏見ではない(はず)。「50歳を過ぎたら、体力がガクッと落ちるもんですよ」というのも、真実に違いない。”

  • 親切かどうかはどっちでもいいです。有能で責任感があれば。
  • 説明も明晰??←以上に挙げた点、私なら上の通り全部反論します。
  • 現代医学の体系を学んだ成果であって個人的な偏見ではない(はず)。←チェルノブイリ事故を上回る世界史上最大の原発事故が起こり、人口密集地である大都会にMOX燃料が詰まった原子炉からのホットパーティクルが降り注いだわけです。新たな情報が専門家から出てきているのに、これまでの医療の知見だけで診療できると考えるのは医学者として科学者としての怠慢と傲慢。
  • 「50歳を過ぎたら、体力がガクッと落ちるもんですよ」というのも、真実に違いない。←運動量が増えて20代より年々体力アップしている私は個人的に信じませんし、この医師が不注意なのは、今50前後の人間は、胎児、乳幼児、児童の頃に、地上核実験によって既にその前後の世代より累積被曝が多いことを考慮しない点。首都圏育ちの場合、昨年だけでも50前後の人は知人友人を前年までの比較にならないほど失っています。広島長崎では50年以上たって発症する人たちがいます。
日本では、「先生」と呼ばれる人を安易に信用する風潮が未だにありますが、お医者さんもその好例。

でも、放射能というか内部被曝に関して正しい知見を持つ医師は、一般開業医では皆無に等しいので、この1年間、マンハッタン計画以前まで遡り、広島・長崎の原爆やチェルノブイリ事故後の真実について情報収集・シェアしてきた我々の方がよく知っていることが多くなってきました。

院長の独り言ブログの開業医である小野院長先生も再々おっしゃっているように、放射能や被曝に関して理解している医者などほとんどいない、とまず疑ってかかる事は重要だと思います。

私の関西での主治医も未だに肥田先生の知見にも触れていません。私は昨夏いくつか内部被曝らしき症状が出て、とにかく可能性として記録してもらっているのですが、唇の端が切れやすくなったことを話したら、そんなもん大人だって誰でもなると言われました。

医者だから何人もそういう患者に会うのでしょうが、私という個人は小学校の真冬のスキー旅行まで遡らないと、そんな記憶はありません。(しかも、この症状が繰り返し出始めたのは昨夏。高湿度の夏!一時的に頭髪が薄くなった以外は健康そのものでした。ありえんw。ツイトモさんも同じ症状が出て不思議だという人がいました。)

で、記録してもらう為に、直前に(産直のものを選んでいるとはいえ)牛乳を大量に飲むなどの共通点がある事(や、ND=ゼロベクレルではないこと)を話したら、「そんなもの、飲み過ぎるなら控えたらええし、関係があるというなら計測するならともかく、しもせんで」と言われてキレました(私だって因果関係があると断言などしてません。議論それてるやん。1~3万円くらいで買えるガイガーカウンタで測る空間線量と勘違いしてるんちゃうか、このおっさん。)

正確に測るには千数百万もするゲルマニウム測定器が必要で、東電も政府も払うわけないし、だからこそ、子育て中のお母さんたちが、各地でぽつんぽつんとやっと、1回あたり数千円で数品持ちこめるような測定場所を築いてるのである。一番近い計測所に行くには確か岡山で、交通費がその数倍かかる。

私は計測できない代わりに将来発症する人間が増えたときの大海の滴程度の証拠サンプルとなるべく、意識の低い医者の啓蒙(?)の端くれとなるべく、症状を話しているわけです。今はまだ高額な線量計や計測器を買う余裕も動機もないし。

以前にもこれで議論になったのを思い出した主治医は、時間が惜しいらしく「時間ないし記録はとったので」と告げて診療終了しました。医者というのは、特に田舎の医者というのは、症状を客観的に告げられたら「先生なんとかしてください」と訴えているようにとる癖があると学習しました。東京の同世代女性が主治医のときは、医師の総合的判断のための材料を提供しているつもりで語り、その意図は通じていました。(不眠症の薬ために月1度通う必要があるのですが、それ以外はいたって健康。全然患者らしくない患者です。)

というわけで、ちょっと勘が狂います。あちらも難儀でお互い様でしょうが。とはいえ、今の60代男性としてはこの新たな主治医もプロメテウスの罠を読んだり、種まきジャーナルを聴いたりはしてるので、意識の低い兵庫県民としてはかなりマシなほうなのです。(で、この程度かと思うと、ツイッターやFacebookの情報量ってその数倍ですね。)


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